「やぁ、夕焼けがきれいだね。今日は何を知りたいんだい?」
窓わくに止まったフクロウ王子をみつけた学者さんは、いつものように話しかけてくれました。フクロウ王子が知らないことを教えてくれる、大切な友だちです。
フクロウ王子が「電気のつくりかたを知りたいんです」と答えると、学者さんは「いい方法があるよ」と言いながら、庭に出て行き、自転車にまたがりました。
学者さんは「いいかい、僕が向こうから自転車で走ってくるから、ライトのところをよく見ていてごらん」と言うと、家の前の道を走りはじめました。学者さんが自転車をこぐとライトがつき、止まるとライトが消えます。
フクロウ王子の前まできた学者さんは、「見えたかい?これが発電するしくみだよ。タイヤが回ると、発電機もいっしょに回って、電気が生まれるんだ。ほとんどの発電も同じ方法で電気をつくるんだよ」と言いました。
フクロウ王子が「じゃあ、発電所ではたくさんの人が自転車をこいでいるの? と聞くと、学者さんは笑いながら、「いやいや、いろいろな方法で、発電機を回す力をつくりだしているのさ」と答えながら、くわしく説明してくれました。
「水力発電は、落ちてくる水を水車で受け止めて回す力をつくりだしているんだ。火力発電所は地球の奥深くからとりだした燃料で水をふっとうさせて蒸気をつくり、その蒸気を水車のような羽に当てて回す力をつくりだしているんだよ。地熱発電は地下から取り出した高温な蒸気で羽を回しているよ。風力発電はもっと簡単で、風を羽で受け止めて回す力を生み出しているのさ」
「じゃあ、屋根の上にあるソーラー発電機は、中でネズミたちが発電機を回しているのかな」と、フクロウ王子がつぶやくと、学者さんはまたまた笑いながら、「それはおもしろい考え方だね。でも、ソーラー発電機は太陽の光を電気に変えているんだよ」と教えてくれました。
「太陽の光や、風、水の流れ、地球の熱から電気がつくれるのなら、地球の奥深くからとりだした燃料なんて、いつかはいらなくなるね」
「フクロウ王子がそう言うと、学者さんは何度もうなずきながら、「自然の力を利用する発電方法のことを自然エネルギーと呼ぶんだ。自然の力は枯れる心配がないから、いつまでも発電してくれるんだよと、教えてくれました。
森にもどったフクロウ王子は、学者さんから聞いたことを王様フクロウに話しました。王様フクロウは「いいことを学んだな。風や太陽、水の力を利用した発電方法は、発電するときに地球をあたためるガスがでる心配もないんじゃ。どんどん広がってほしいものじゃな」と言いました。
おわり