ある日、北極にすむ友だちのシロクマから、王様フクロウに手紙がとどきました。
「どんどん氷がとけて、住めるところがへっているんだ。氷がうすいと狩りができないから、やせてしまったよ」
南の島にすんでいる人間の友だちからも手紙がとどきました。
「海面が高くなって島がしずんでしまいそうだよ」
手紙を見た王様フクロウは、「地球を暖めるガス (※) がふえすぎて、暖かくなりすぎているようじゃぞ」と、つぶやきました。
いっしょに手紙を見ていたフクロウ王子は、「地球を暖めるガスってなに?」と、首をかしげます。
王様フクロウは両方の羽で地球のかたちをつくりながら、「地球をつつんでいて、温室のように暖めるガスのことじゃよ。そのガスが増えすぎたと、人間がさわいでいるのを聞いたことがあったぞ」と言いました。
「じゃあそのガスがなければいいの?」と、フクロウ王子は、また首をかしげます。
王様フクロウは、友だちの科学者からもらった辞書をひらいて、こう言いました。
「いやいや、そのガスがないと、地球は1年中、マイナス18℃ぐらいの寒い星になってしまうそうじゃ。人間が真冬に裸でいるのと同じようなものじゃな。でも、ちょっと昔の地球は、ちょうどいい量のガスでつつまれていたから、いろいろな仲間がくらせる、快適な温度の星だったそうじゃよ」
フクロウ王子は辞書をのぞきこみながら、「そのガスは、なにでできているんだろう」と、王様フクロウに問いかけました。
ふたたび辞書に目をおとした王様ふくろうが、「地球のおく深くにとじこめられていた燃料 (※) をもやすと出るようじゃぞ」と話しはじめたとき、二羽がとまっていた木の下を、数台の車が猛スピードで通りぬけていきました。
「その燃料はな、数百万年以上もかけて地球がつくるらしいぞ。ところが人間は、電気をつくるときや、車のガソリンなどに利用して、どんどん燃やしておる。とくに発電するときにたくさん使われているようじゃぞ。地球を暖めるガスがふえすぎて、まるで真夏に厚着をしているように、地球に熱がこもるのもあたり前じゃな。」
フクロウ王子はホホーッと鳴きながら、こう考えました。「電気ってどうやってつくるんだろう。地球の奥深くから取り出した燃料を使わないでいい方法はないのかな。こんど人間の友だちに聞いてみよう」と。
※地球を暖めるガス=温室のような働きをするので、温室効果ガスと呼ばれています。その大半は、石油などの化石燃料を燃やすと発生する二酸化炭素です。
※地球の奥深くに閉じこめられていた燃料=化石燃料のことです。動植物の死がいが地球の圧力や熱により変化して生まれたもので、生成までに数百万年以上の歳月を必要すると言われています。
おわり